2001年1月・志學館大学での講義録


『障 害 者 と 福 祉』

(講義記録の再現:文学部1年生の堂園君と福地君による)

2001年1月10日(水)1時間目

外来講師:
森田隆二先生をお招きしての講義

  2001/1/10
  今回の講義は、名瀬市にある奄美和光園の入園者で「らい予防法」違憲国賠訴訟和光園原告団「共に歩む奄美の会」代表委員の森田隆二さんに来て頂き講義をして頂いた。
  森田さんは、ハンセン病についてご自分の体験談を話された。まず始めに、名前を改名されたことから話され、改名した一番の理由というのは社会での偏見のためであった。その当時ではまだハンセン病は遺伝性のある感染病といった迷信が信じられていた時代で、自分だけでなく家族や親族にまで偏見をもたれ迷惑をかけてしまうために改名されたということだった。また病気が治り結婚された後、社会復帰を目指して色々な職業に就かれたが「らい予防法」の就業の禁止や偏見のために解雇されたことが何度もあったようだ。
  日本では元々ノルウェー方式という近くの病院で治療するといった外来診療を行っていたが、アメリカ方式という隔離を行う政策に変換した。その当時はまだ感染経路は人であり、感染力もあるという考え方が一般的で、特効薬も発見されていなかったため隔離に踏み切った。隔離をするにあたって指定された病院でないと治療を行えないようにした。また無らい県運動などを行い、ハンセン病に感染した人たちを隔離していった。アメリカ方式と言っても隔離することしか共通することがなく、日本では隔離された人達の生活には人権がなかった。軽度のハンセン病患者は重度のハンセン病患者の看病の助手として手伝わされたり、亡くなった人がいたときはその亡骸は、患者であった入園者によって火葬や納骨が行われていたことが多かった。療養所の中で結婚するときも断種や避妊といった非人道的行為が行われていた。
  ハンセン病は、薬を服用すれば、早い人で2ヶ月で、遅い人でも6ヶ月で治る病気である。それなのに強制的に隔離され治っても療養所から出してもらえなかった。現在約4500人収容されているが、高齢のために毎年250人くらい療養所の中で亡くなられている。療養所で生活するには生涯で1億円ほどかかるしそのお金を国に負担してもらっているのに対し、「らい予防法」の廃止によって療養所から出ていこうとしている人は国から100万円しか頂けない。つまり、ほとんどの入園者は高齢のためや後遺症によって療養所から出て生活していくこと(社会復帰)はできないと言える。そしていつかは療養所の中で亡くなっていくのである。そういった国の政策に対してハンセン病元患者の人達が立ち上がって裁判を起こしている。裁判での判決を待たずして療養所の中で亡くなる原告の方が大勢いらっしゃる。せめて死ぬ時は療養所の外や故郷で死にたいと願う入園者、御骨を療養所内の納骨堂でなく故郷の墓に埋葬してもらいたいと思っていた人達の気持ちを絶えず療養所に留めたいとする国の態度は「らい予防法」廃止の後も変わっていないと言えると思う。


『障害者と福祉』(講義時に提出の感想文:受講生の回答内容)


2000年1月10日(水)1時限目

(次頁からの打ち込み作業担当者:安里由紀子)

1月10日(水)講義時の学生への質問内容

次の設問は、9:10開始ですが、皆さんが揃うまでしばらくまちますので、来ているみなさんはここ(@)に関しては書けると思いますので書いていてください。(この内容は森田氏からの設問です。9日、近藤宅で考案!!)。

@  障害者のなかで、一番怖い(恐い)病気というイメージを植え付けられてしまったのが、ハンセン病と言えます。そういった病気はすでに治った病気であることは(近藤、また細川先生の)これまでの講義でわかったと思います。森田氏が19歳で入園した時代、世界は既に外来(日本では京都大学医学部皮膚科学教室、沖縄に関しては外来診療が実施)だった訳ですが、こういったハンセン病に関して、もし、あなたがハンセン病と患った人との結婚を前提として考えた時、どう思いますか?

A  前回の細川先生の講義は出席されましたか?     ( はい ・ いいえ )
  今回の講義(前回の講義も合わせて可)              ↑
  を通しての感想を聞かせてください。            ○印で囲んでください

B 今日の講義で具体的な疑問(点)としてあがったものは何ですか。
  どんなことでもいいですから回答してください。

 

 

@の質問項目は、前日、大学にお迎えした森田隆二氏にお聞きして作成しました。

質問への答え

平成12年度「特色ある教育研究の推進」研究成果報告書
ハンセン病医療医学を学生教育に生かす視点』より
2001年3月刊行/(研究代表者)志學館大学法学部法律学科・近藤功行氏(
現・沖縄キリスト教学院大学教授

 

 

 

 

 

 

 

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