最近の出来事

奄美市議会傍聴の記録(2006年12月7日)


 


崎田 信正
( −略− )
まず一番めに奄美和光園の将来構想についてということであります。「らい予防法」が1996年3月に廃止となり、この法律のために人間としての生活を奪われてきた元患者の方々が、1998年7月31日に、熊本地裁に13人の原告団で、「らい予防法」国賠訴訟を起こしました。全国各地で支援団体が結成され、奄美でも「らい予防法国賠訴訟の勝利に向けて共に歩む奄美の会」が結成され、意見書を提出するとか、支援の集会を開催するなど、行ってきたわけであります。この裁判は2001年5月11日に原告勝訴の判決が出され、当時の南野知恵子厚生労働副大臣が奄美和光園を訪れ、入園者に正式に謝罪が行われました。それからすでにもう5年半以上が経過をし、現在に至っているわけです。

全国に13ある国立療養所は、入所者の意志を無視して統廃合することはないと国は約束をしており、入所者がひとりになったとしても療養所が廃止をされたり、統合されることはないものと受け止めております。しかし奄美和光園は全国13の療養所の中でも最も小さい療養所であり、高齢化が進む中で、年々入所者数も減少するのが実情であります。このまま推移をして行けば、入園者に必要な医療・介護が維持できるのか、先の見えない状況だと思われます。入所者のひとりひとりが安心して生活できることが必要であり、最後のひとりまで国立の療養所として存在させなければなりませんし、その後も国立の機関として地域に役だつ機関としてどう存続させていくのかが、問われているのではないでしょうか。これまでにも旧名瀬市議会において、2003年3月20日に「和光園の将来を考える懇談会」を設置し、検討を進めております。旧名瀬市でも、「国立ハンセン病療養所奄美和光園の将来構想検討委員会」でも議論が進められています。そして先日は、奄美市になって最初の検討委員会も開催されております。

そこで、三点についてお伺いしますが、まず奄美和光園の将来構想検討委員会は2004年6月2日に報告書を出し、「国立長寿検証センター」設置提案が出されています。この要望先は、国、県等関係機関とし、名瀬市に一任するとされました。先の6月議会で平敬司議員もこの問題を取り上げられ、喫緊の課題だと、そこでも指摘をされているわけです。その状況はどうなっているのか。先の6月議会の席では返事がまだ来ないようなことを言っているようですが、いつまでに返事をするよう求めているのか、あれば示していただきたい。

二点めは、10月28日に奄美和光園でシンポジウムが開催されております。そのシンポジウムには市民福祉部長もパネリストとして参加をされておりますが、行政の代表と受け止めてよいのか。その上で、奄美市としての要望、「長寿検証センター案は難しいので、官民一体となって要望」との発言があったように、お聞きしております。その具体的な内容があればお示しいただきたい。

三点めは、国立の施設に対して奄美市、つまり地元の要望が実現されるにはどのような問題があると考えておられるのか、そして今後の見通しがどうなるのかについて、お示しいただきたいと思います。次からは発言席から質問を行います。


平田市長
崎田議員の質問に回答いたします。
まずその前に、私たちは全国14ヶ所の療養所の施設自治体の長で全国ハンセン病療養所所在市町村連絡協議会というのを毎年開催しております。持ちまわりで開催しております。昨年は宮城県の登米市で開催されました。そういう中でお互いに情報交換し、この問題の解決にあたっていこうということでありますが、なかなか具体的な方向は見出せないというところです。毎年毎年、当会で決議いいただいた内容を厚生省に陳情いたすという形をとっております。会長はもうずっと東村山の恵楓園のある東村山市長さんにお願いをするということでやっております。そういう中でございますが、その中でも、私からも申し上げましたように、どうしても奄美和光園は入園者の構成上から、どこよりも早い問題が出てくる可能性があるからと、このことについては皆さんからも協力をお願いしたい、というお願いをしました時に、14ヶ所の療養所が指標的ではないということがございまして、奄美和光園については奄美和光園として、また旧名瀬市においては名瀬市の方向性を定めて対応すると、そういう中で、お手伝いできるものがあればお手伝いする、ということで話があるわけでございますので、それらをふまえて、平成14年8月に「奄美和光園の将来を考える会」を発足させて、メンバーにいろいろ重要な立場から意見を交換させていこうということでございましたんですが、14年の12月に第二回、それから15年の 7月に第三回の会合、会議を行うなかで、将来構想について協議をいたしましたが、15年の9月30日に「奄美和光園の将来を考える会」を正式の会として発足、失礼しました、「奄美和光園の将来を考える会」を発展的に解消して、具体的な将来構想について研究するために「奄美和光園の将来構想検討委員会」を発足させたという経緯がございます。そういう中で、先ほど議員が申し上げましたように平成16年3月30日の検討委員会で、仮称・国立長寿検証センターの併設案があり、同年の7月には厚生労働省へ地元選出の国会議員より要望をいたしたところであります。

その、返事がないが、ということなんですが、厚生省のほうも個別のことで対応するというところにまだ至っておりませんで、今後の課題だということで話し合いを続けている状況だと聞いております。

この検討委員会でも、今、議員が指摘しましたように、最後のひとりまで和光園がある、という形を作るのにどうするかということについては、和光園の従来の機能に新たな機能を併設するということで存続ができるのではないかということで、「長寿検証センター」を併設しようという構想に至ったわけであります。この長寿検証センターについても、なかなか、厚生労働省としてはその方向で検討しようとか、研究して行こうとかいうようにはなかなか感じ取れませんで、今、意見が平行しているという状況であります。今後、和光園については、われわれが責任をもって、さらに最後の最後まで、ここで生活ができるようにして行かなくてはならない、という思いでおります。

先般の、奄美市の第一回めの検討委員会を開催させていただきましたが、確かに長寿検証センターの併設についてはハードルが高いようでもありますが、やはりその方向で、やはり折衝して行こうということで意見の一致をみた、ということでございますので、この方向で再度また厚生労働省と折衝もって行きたいというように考えておるところです。今後はこういうことで、なぜそうなのか、検証センターなのかという理論的な裏づけとか、地域の特性を理解してもらうとかいうようなことなども必要だろうということでございますので、その方向で奄美市としても進めて行きたいと考えているところでございます。今後何かとご指導やご意見を賜りますよう、そのように申しておりますので、よろしくお願いいたします。


市民福祉部長
市民福祉部長が参加をしたことについて、行政の代表ということでよいか、ということでございますけれども、そのことにつきましては、奄美和光園で行われた「らい予防法廃止10周年、熊本判決5周年記念シンポジウム/今こそ手を携えて」というタイトルでございましたけれども、そこにパネリストとして参加をいたしました。これは全国ハンセン病療養所入所者協議会などが主催で、鹿児島県や奄美市、南日本新聞社などの後援で、奄美和光園の将来構想についてのパネルディスカッションでございますが、私のほうに、行政側から市民福祉部長として参加の依頼がありましたので、市長にご相談をして了解いただいて出席をしたということでございます。この     につきましては市長がただ今詳しく  しましたので、私のほうからは申し上げることはございません。


崎田 信正
今、市長のほうから長寿医療センター、まだそれを要望していきたいということですが、ちょっと私、気になるのはですね、今年の7月21日ですけれどもハンセン病問題対策協議会がございまして、ここが川崎厚生労働大臣に統一要求書を出しているわけです。その内容についてまず、ご存知なのかということを確認したいと思います。


市民福祉部長
この問題だけではなくて、先ほど言いましたように全国の原告団の徳田弁護士先生なども時々いらっしゃいまして、こういうことですよというふうな資料なんかも置いていかれますし、私どもも折に触れて和光園のところに参りまして、毎回職員から資料いただいたりとか、話をうかがったりとか、そういうことをしておりますので、それは十分承知をしておりますが、ただ、そのことと私どもが構想委員会ですべて話をすることと関わることではないのではないだろうかと。           


崎田信正
その統一要求書の内容についてですね、ちょっと気になるところがあるものですから、再度質問いたしますけれども、この統一要求書は、第一に「謝罪、名誉回復」ですね。第二番めに「社会復帰・社会内生活支援」とか、第三に「在園支援」、第四に「真相究明」、第五に「将来構想」というふうに分けて要求をされています。で、その今まであった将来構想の中で、療養所の将来構想をめぐる情勢として、ここが要求に出しているのは、「療養所の将来構想をめぐっては、入所者の減少と高齢化が急速に進行している状況下で、社会の中で生活するのと遜色のない水準を確保するための施策の確立が急務となっている。」さっきのはそういうことですから。二番めに、「しかるに、厚生労働省としては施設整備の一環として居住棟の集約化を進める以外に、療養所の将来構想については何ら施策を具体化することを怠っている」と。弁護団などからは、国はちゃんとやってないんじゃないかと、さっとやれということを言っているわけですね。その上で、三番めに出ているのが、厚生労働科学特別研究事業として実施されている「国立ハンセン病療養所の将来状況と対策の研究」というのがあります。その「2005年度統括研究報告書」では、「離島、山上、僻地の療養所名を特定した上で、現実的な将来像の選択として、転居という方法が呈示され、他機能の導入や併設を否定する」といった内容が盛り込まれているというのが、この統一要求書で出されているわけです。つまりこういう動きがあるから、そのことについて厚労省はどう考えますか、という要求になっているわけだと思いますが、この内容については、承知をしているのかどうか、確認したいと思います。


市民福祉部長
先ほども申し上げましたようにね、内容について詳細に承知をしているかという話じゃないと思うんですけれども、私どもとしましては、とにかく和光園の在園の方々につきましては在園の保証ができました、と。その上で、せっかく国立の療養所施設がありますので、これまでの在園の方々のご苦労に報いるためにも、この施設を活かしていきたいということで、そういうことで経過的に市長から話をしましたような話になると思うんですね。それで、実現のためにもこれからだと思うんです。で、構想委員会でもさらに委員の委員の強化を含めまして理論武装をして、実現に向けてこれから努力をして行こうと、そういうところですので、この問題をここで言われましても、私は     


崎田信正
これは厚生労働科学特別研究事業という中で研究発表がされているわけです。で、これはすべての療養所の園長が入ってやっている研究というふうにインターネットでは出てまいります。そういう状況で補助金まで使って研究をやっている内容ですから、それだけにその中身の報告というのは重たいものがあるんじゃないかなというふうに、私は心配するので、今のような状況でことが進んで行って、本当にこちらの要望が実現できるようになるのかという心配をするから聞いているわけです。で、この4月の報告書ではですね、先ほど言った「離島や山上、僻地にある施設については」という文章の中で、対策といって100名以内になる時点において、転居することがひとつの選択肢であるというふうにまで書いてあるわけですね。で、奄美和光園は今年の3月1日で64名、10月の報告では62名で、今は61名に減っているというふうにおうかがいをしております。で、すべての療養所の園長が入っているということですから、当然、和光園の前川園長も入ってるわけですね。この園長の報告では、「今年3月1日現在の入所者は64名で、療養所が質的変化を起こすターニングポイントのひとつ、入所者数が50名以下になるのは平成22年と予測される」というふうになっている。質的な変化を50名以下で起こり得るという可能性を示しているわけですね。で、それよりも、22年が50名以下になるということですが、それよりも早くなる可能性があると。22年といえばあと3年ちょっとですから、それが早くなればもうすぐ来るわけですよ。そんな時に、まだ長寿医療検証センターですか、そこに、まあこれも進めなければいかんけれども、それと同時に、本当にもっと情報を取り寄せて、これでいいのか、また別の方法が必要なのか、とか、多角的な状況準備をしないといけない、待ったなしの状況じゃないのかな、ということを思うわけです。そういった意味では、現実的な方法をですね、早急に示されることが必要だと思うんですね。その検証センターというのが本当に現実的なのかどうか、今のところ、去年大島先生が来られて講演された中では、非常に難しいということも言われているわけです。ですから、これからは、どれだけの資料を、誰がどのように収集するのか、過ぎたことを今から言ってもだめですから、これまでの取り組みで、私はぬるいと思ってます。これからいろんな資料をいっぱい取り寄せてですよ、それで現実的にあった状況の提案をしなきゃいけない時期だというふうに思いますので、そういった資料とか収集の役目は誰がするのか。科学的に分析をするというのはこの構想委員会がやると思うんですけれども、どれだけの情報量で分析をするのか、いつまでにそれをしなければいけないのか、というのも分析のひとつに入ってくると思うんですが、そのあたりどのように考えているのか、お示しをいただきたいと思います。


平田市長
議員の指摘に同感できるものであります。ただ、今、奄美市がスタートして初めての委員会を立ち上げたところでございますので、委員会で従来の方向でもう少し話を進めてみようという意見の一致をみたという報告を受けておりますので、再度、引き続いてこのことを厚生省に上げてみて、その中で何らかの対応をしてもらう、と。このように思います。おっしゃるように、もうタイムリミットが近いわけですので、それなりに厚生省も対応を示す時期がきたと私は思っておりますので、そのような形で対応を取らせていただきたい。私はこう思います。


崎田信正
今のところ厚生省は返事ナシだという状況には変わりないような答弁ですが、民営化も視野に入れるのかというふうに質問してますが、これは入ってないですね。入ってない。
まあこの50名を割るのは22年だということですが、その予告ではですね、今年は64名ということですね。来年が62名ですね。で、50名を割るのは2008年だそうですから、それが確実に早まっているような状況ですので、まさに全叡智を集中してやるということで、そこに入園、入所されている方の安心感と同時に、和光園というあの場所を、          みたいな形になりましたので、これをどう今後の人たちに生かして行くのかということが緊急の課題だというふうに思いますので、お願いをしたいと思いますが。

ただ和光園のシンポジウムで徳田弁護士も言われましたけれども、三つのハードルがあるということを言っておられます。そのひとつが「らい予防法の廃止に関する法律」、これによって療養所では入所者以外は使えないということになっていると。第二に、市民の中に残る差別。これはかなり改善されているというふうには思うんですけれども、まだ根底には残っているのかもわかりません。第三に、国立医療機関を独立行政法人化して国民の医療には責任を持たないという国の政策、という三つの壁があると。この壁を打ち破るために、国民運動を展開しようということを訴えられているわけです。まさにこういう運動が必要ではないのかというような、6月議会でも平議員がこんなふうにおっしゃっていましたので、まさに同感だと思いますが、この運動の方向で、しっかりとした論議ができる体制と道筋をぜひつけていただきたいと思いますけれども、部長、今度の3月までになるんですよね。そういうことであればぜひですね、こういう道筋をつけていただきたい。そういう決意の思いの一端でもお聞かせいただければと思います。


市民福祉部長
まず、今言われましたように私がやめたって  継続しますので、しっかりした方が  できると思ってますけど、どっかで少し違うと思うんですよ。これまで崎田さんはこの問題についてあまりお触れにならなかったものですからよくおわかりにならないかもわかりませんが、確かにおっしゃるとおり、市長も言いましたようにこれまでは確かにちょっと手がけたのが手薄だったというところはあると思うんです。しかし今回またこの問題につきましてこれから構想委員会のメンバーの強化をして、これから、これまでの構想委員会で出していただいた要望に対してどう         をしていく。それからまた政治的なアプローチもしていく中で、徳田弁護士さんなんかが言われてますように、これはやっぱりなかなか難しいですよ。   もあり得るし。

とにかく、奄美和光園がハンセン氏病の全国の施設の中で一番注目をされているところでもありますので、それから私たちが願うところは言うまでもなく、そこにいらっしゃる方々が幸せに暮らせるようなことがまず第一ですよね。それからせっかくある国立の施設ですから、それをなんとか活用して、市民に還元することができないか、と。それが施設におられる方の願いでもあるということを私も聞いておりますから、そういう努力をしていただければという話であって、それはもう崎田さんがおっしゃることがそれは正しい、と。私たちから見たらね、これからなんですよ。


崎田信正
現状からみたらこれから出発せざるを得ないけれども、もうすでに5年が経過してこの時点だということを私は言っているわけですよ。すでに5年経過してるんですよ。このことは最初から言われているわけです。この時点があるから、今までと同じような考えでやってたらすぐにでももう時間は過ぎてしまいますよということを言っているわけで、それと入所者の方が安心してということと、それからこの施設をどうするのかということと、こうこうこうなりますから安心ですよということじゃないでしょ。こういう具体的な、もうこうなりましたから安心して生活できますよということではなくて、今それを目指しているという、まだそういう状況だということを指摘をしているわけですから、がんばって道筋をぜひつけていただきいというふうに思います。

(以下、略)


マーカー部分は発言まま
奄美市議会 平成18年12月7日(木曜日)

 

 

 

 

 

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送